コンテンツビジネス

日経産業新聞 2016年11月22日掲載

国土の広いアメリカには、広々としたスペースの広いバーが数多くあるが、お酒を楽しみながら、
絵を描くという社交の場を提供して躍進している会社がペイント・ナイト(Paint Nite)だ (https://www.paintnite.com)。


2012年に二人の起業家がボストンの郊外に創立して以来、スタッフ110人、年商5500万ドルの会社に成長。
8月には、毎年起業家対象のインクマガジンが発表するアメリカで躍進する中小企業トップ5000社中の第2位に選ばれた。

全米の約1500の都市にて合計3500軒のバーと提携しており、毎月約5500件のイベントを開催している。
同社が開発したお絵かきプログラムは、全米各地に250人存在するクリエーティブ・アントレプレニュール(CE)と呼ばれる人たちにライセンスをされ、割り当てられたエリアにて、イベントの運営を行う。
ウエブサイトの運営とオンラインを中心にしたプロモーション活動、画材の開発はペイント・ナイトが担当し、売り上げの70%がCEに支払われるという構造だ。
イベントの進行役は、絵の教師やプロのアーティストが起用され、各参加者を見回って助言をし、和気あいあいの雰囲気の中でキャンバスは仕上がっていく。


お手本の絵に倣って、全員同じものを描くため、上手下手の競争感もなく、気楽に2時間後には仕上がるという流れである。必要な画材はすべて、CEチームの運転手がバーに配達するので、参加者は手ぶらで会場に行けばよいわけだ。利用者は、Paint Niteのウエブサイトにて参加したい日、関心のあるタイプの絵、便利な場所などの選択肢からイベントを選び、支払う。
プログラムは通常、午後7時からの開始で、画材込で費用は、45ドル~65ドル。
今年のホリデーシーズンから、ギフト券の販売も開始する。バーでの飲み物やおつまみ代は直接バーに支払う。
参加者層は、20代から30代の女性が大多数で、35人~80人と規模も様々である。
生計を立てていくのがなかなか難しいアーティストにとっても、新たな収入源を提供しており、関係者全員にとって、WinWinのビジネスで、今後の成長が期待される知恵を使ったライフスタイル創出型のビジネスである。