クラウドファンディング

日経産業新聞2018年4月25日掲載

過去10年の間にクラウドファンディングは新規ビジネスを実現するために必要な資金調達の主要な手段として、
世界中に定着してきた。不特定多数のクラウド(群衆)からビジネス資金を集めるためのインターネット上の土台となるプラットホームを提供するサービスである。

クラウドファンディング大国のアメリカで、2016年にこの方法で調達された資金は、約600億ドルで、
資金調達の新しいエコシステムを確立している。北米だけでも、190以上のクラウドファンディングサービスがあり、サービス内容も多様である。
中には、映画制作を応援するSeed & Spark, ミュージシャンとファンをつなげるPledge & Music,
非営利事業にフォーカスを絞ったYou Caringなど専門性の高いニッチサービスも続々と登場して、
キャンペーン実施者の目的に合うクラウド(群衆)にアクセスすることを可能にしている。

Indiegogo: Crowdfund Innovations & Buy Unique Products

スタートアップや急成長中の会社が新商品を開発、製造、販売するために何十万ドル、ひいては、数百万ドルという大型の資金を集めることを目的とするキャンペーンも数多く、実現化のために、クラウドファンディング専門のソーシャルメディアやマーケティング会社を起用するケースも増加している。
このような資金集めのキャンペーンはダイナミックであり、グローバル化も顕著であるが、昨年の末には、アメリカ2大プラットホームの一つであるインディーゴーゴー社がサプライチェーンサービスの大手で、世界中1500カ所にディストリービューション・センターを持つイングラム・マイクロ社と提携を結んで注目された。
これは、同社を使って資金調達に成功をした会社に対して、流通フルフィルメント・サービスを割安の価格で提供するというもの。支援者についての情報管理からお返しの品や商品の在庫管理、梱包、発送すべてを代行し、便宜をはかるというものである。クラウドファンディングによって、資金調達はできたものの、その後のフルフィルメントの対応に不慣れな会社は多い。この大型提携は、購入型クラウドファンディングによるビジネスの急速な進展、そして、グローバル化を示唆している。