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アメリカでは、この数年、家庭菜園が流行っているが、新型コロナウイルス感染拡大のため、自宅隔離を3カ月以上も余儀なくされたニューヨーカーの間で、室内で野菜やハーブを育てることへの人気が高まっている。日当たり、スペース、そして自由時間に制限のある都会に住む人たちの間で特に感謝をされているのが、土を全く使わない室内水耕栽培機だ。

場所を取らないコンパクトなこの栽培機キットには、LEDの照明が組み込まれているため、栽培に重要な自然日光は不要である。品種によって異なる照明時間が栽培機にプログラムされているので、選択さえすれば、必要な時間の照明が自動的に設定され、園芸が初めてという人にとっても失敗がない。除草剤や駆除剤などの農薬も使われていない。ユーザーがしなければならないことは、説明書に従って種の入ったポッドを指定された場所に差し込み、指示された量の水をいれることだけで簡単である。栽培したい野菜やハーブの種も、サラダ用、ハーブ茶用、そして花とバラエティーに富んでいて、目的によって分類されているので選びやすい。人気があるのは、野菜ではレタス、ケール、プチトマト、ハーブではバジル、パセリ、ミントだそうだ。

最近、少しずつ、ニューヨークの店頭に出回るようになった日本の水菜の種も販売されている。人気ブランドはエアロガーデンクリック&グローなどで、$90~$200の価格帯のものが売れ線だそうだ。栽培機には、初回分の種と専用のポットが含まれている。その後は、自社サイトやアマゾンにて、育てたい野菜やハーブの種をアラカルトで買う。3種類から6種類のもので、$15~$17と手軽な価格である。自宅勤務が続き、人との社交もままにならない現在、毎日、少しづつ成長をしていく野菜やハーブを自宅で観察し、自分の手で収穫できることに心の癒しを感じている人は多いという。都会の集合住宅という限定された空間で室内水耕栽培器具を使って自分が食する野菜を育てていくことは、「農場から食卓へ」という生産者から消費者へ安全で新鮮な食材を届けるというライフスタイルに一致していて、サステイナブルな日常を実現化している。