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今年は、LGBT(性的少数者)の市民権運動のきっかけとなったニューヨークの「ストーンウオールの反乱」後、50周年となる記念すべき年である。毎年恒例のプライドパレードという行進には、大企業を数多く含む、約700団体が参加、15万人以上が行進するという大イベントとなり、世界中から300万人もの観衆が集まった。2015年6月に、最高裁で合憲という判決が下され、同性婚は法律的、社会的に認められ、それ以来、LGBTビジネスの促進を目的とする事業の多様性と拡大ぶりには目を見張るものがある。

LGBTビジネスを代表する組織として全米ゲイ&レスビアン商工会議所(National Gay & Lesbian Chamber of Commerce NGLCC)があるが、アメリカ49都市、世界11か国に会議所を持ち、同組織が発行するビジネス認定書、LGBTビジネスエンタープライズ(LGBTBE)を持つ会社は、2017年に比べて28%も増加して、現時点では1100社。認定会社は大手企業へのビジネスサプライヤーとして認められるなどの特典がある。一方、LGBTの人たちの仕事面での交流や人脈作りを促進するビジネスも次々と誕生している。OutBuro.comはその代表的なサイトで、創立者のデニス・ベルコ氏は、2008年よりリンクトイン内に、LGBTグループとして、OutBüro(outburo.com)を立ち上げて今では、47000人のメンバーを持つ、リンクトインにおける最大のLGBTグループを運営しているが、このネットワーク力をベースにオンライン上のOutBüroを去年、スタートした。

参加メンバーに対して、過去務めていた会社のLGBT施策についてのアンケートを実施し、同社独自に、企業のLGBT取り組み指標を構築して、メンバーに公開している。同サイトの就職活動セクションには、メンバーが履歴書を投稿することができ、リクルーターとの接点を作っている。

LGBTビジネスの盛り上がりの背後には、企業の熱心な参画がある。年間、9000億ドル以上と言われるLGBT層の購買力は魅力的である。ダイバーシティ=人間の多様性に対して、オープンで寛容な企業であるというイメージを浸透させることは、優秀な人材を確保していく上でも不可欠である。LGBT施策の面でリーダーシップを担ってきたJPモルガンやIBMなどの巨大企業の姿勢は様々な機会を通して告知されている。LGBTの人たち自身がそのような企業で自分たちの性的志向を隠す必要なく、オープンにして職場で活躍をしている時代が到来した。