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電子募金箱、ソーシャルビジネス?

アメリカはクレジットカード大国である。特に40代以下の世代ではキャッシュレスな生活が定着している。現金で払うのが当たり前であったレストランのチップや、街頭募金でさえもカードで払いたいという人たちが増えてきた。

そんな中、2014年にボストンにて、大学生2人が始めたDipJar(写真)はカードでの支払いを可能にする手軽な機器で、重宝されている。技術系スタートアップの多くは、ソフトウエアやアプリ開発に従事することが多いが、DipJarはハードである点が新鮮だ。毎日通うカフェでの少額のチップの支払いが現金でしかできないという不便さを解決したいというニーズから生まれた。

小さくどこにでも持ち運びできるこの機器は電子募金箱のようなもの。寄付金額は主催者がオンライン上の口座より1ドルから1000ドルまでの額を設定できる。カードを差し込むと設定された金額が数秒でカードに課され、電子音で取引が完了したことが知らされる。活動資金や寄付を募るファンドレイジングの会場で、寄付金額の違う複数のDipJarが使われることも多い。

救世軍やYMCAから、子供たちにランチを無料で提供するボランティアの資金集めまで、数百ドルから数万ドル単位の資金集めを可能にしている。同機器は、WiFIは使わず大手携帯サービス会社のインフラサービスを使っているため、安全性も高い。

価格は、$399。毎年運営費として$99が課されるが、販売価格に初年度の運営費$99が含まれている。トランスアクションフィーとして、全寄付額の6%をDipJarに支払い、寄付一件ごとに17セントがチャージされる。社会貢献として寄付をすることを当然とするアメリカは、実務的で解決志向のソーシャルビジネスが新しく生まれる最適な土壌である。