最近のアメリカのテレビドラマで、LGBT(性的少数者)のキャラクターが主役であることも珍しくなくなり、ビジネス社会において、LGBT/ダイバーシティー(多様性)を推進する動きが顕著になって久しい。アメリカにおいて、性的少数者コミュニティの経済的躍進は目を見張るものがある。
LGBTビジネスを代表する組織である全米ゲイ&レズビアン商工会議所National Gay &Lesbian Chamber of Commerce (NGLCC)は2002年11月にワシントンに設立した。

アメリカ全土に44の会議所を持つLGBTコミュニティに特化した経済団体である。
アメリカには、約140万件のLGBTビジネスが存在すると言われる。同組織では、2016年10月以来、LGBTビジネスエンタープライズ(LGBTBE)という認定書を発行しており、既に900社以上が認定を受けている。この認定を受けると特典として、NGLCCの企業パートナーである約200社の大企業とネットワーキング活動をすることが可能になり、公式サプライヤーへの道筋が開かれる。このLGBTBEに認定されるためには、ビジネスの51%以上をアメリカ人、もしくは永住権を持つLGBTの人が所有し、アメリカをビジネスの本拠地とする必要がある。アメリカの消費者市場としてのLGBTマーケットは、2015年の調べによると、9170億ドル。高学歴高収入の人が多いとされるLGBH層の消費市場は年々増加し、大企業にとって、大切なマーケットだ。

最もLGBT会社が多いのは、カリフォルニア州、ニューヨーク州、テキサス州の順であり、NGLCCの最大の会員を持つのは、ニューヨークの会議所である。メンバーのビジネス提供分野は、マネージメント・コンサルティング、マーケティング、デザイン、映画製作産業などのサービス産業分野が突出している。昨年のNGLCCに属するLGBTビジネスの年商平均は、約247万ドルであった。今年は同組織の設立以来、15周年目にあたり、8月1日から4日までは、LGBT会議としては、世界で最大級のLGBTビジネス&教育コンフェレンスがラスベガスで開催され、パートナー企業約200社、そして、1000人が参加した。スポンサーシップ活動に活発な大企業も多く、創立スポンサーとしてこのプログラムに最初に名乗りを上げたのは、IBMであった。その後、コンフェレンスなどへの企業協賛には、金融や薬品、保険、レジャー部門の企業が目立。LGBT対応に前向きな企業に対するLGBTコミュニティーの好感度は高く、企業スポンサーにとって、注目をしたい層である。