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米国人の平均住居面積は、1973年には1525平方フィート(であったが、マックマンションと呼ばれる大きな建売住宅の建設ラッシュで、2013年にはなんと2598平方フィートと、70%以上も広くなった。
自分の城をより大きくしたいというのは、普通の人の夢でだが、米国では2007年のサブプライムローンによる経済危機以来、それに代わる動きが起こっている。
片付けコンサルタントの近藤麻理恵氏の著作、『人生がときめく片づけの魔法』はアメリカでも大ヒットしたが、よりシンプルで身軽なライフスタイルを求める人たちがミレニアム層やベービーブーマー層を中心に存在している。
その一つの例が150-400 平方フィート(の小さな家、「タイニーハウス」に住もうという動きだ。経済破綻により、
持ち家から借家に住み替えざるを得なかった人が急増した中で、高い家賃を支払うことから生じるストレスを疑問視する人も多く、「無理のない、無駄のない暮らし」が見直されたという背景がある。

 


タイニーハウスの建設コストは、業者に依頼せず、自分たちで作れば、コストは約1万ドルから2万5千ドル。
タイニーハウスを建設するための、ハウツー本や建設資材キットも売れているそうだ。より高級なタイニーハウスを専門建設会社に依頼すると建設費は、6万ドル-10万ドル以上である。住宅ローンなどの長期債務を抱えることなく、低コストで自分が欲する家の建設が実現できるため、環境に優しい小さな家で精神的に豊かに暮らすことに魅力を感じる米国人は少なくない。狭いスペースでも、技術を駆使することで、太陽電池パネルなど高機能の住宅作りが可能なため、このトレンドは急速に伸びている。 住まいやインテリアの番組を放送する専門テレビチャネルHGTV (Home & Garden Television) ではタイニーハウスの建設やインテリアをテーマにしたレギュラー番組を2本放送して、人気を博している。所持品を少なくしてライフスタイルのダウンサイズ化を図るベービーブーマー層とシェア経済に慣れ、自分の家の広さに対し、拘りの少ない独身のミレニアム層の間でタイニーハウスは定着していくことが予想される。