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日経産業新聞2014年4月1日寄稿

成長が続く、アメリカのフードトラック、2017年には、レストラン総売り上げの3-4%規模に。

デザートやアジアの味が人気。

 

昨年全米レベルで10億ドルのビジネス規模に達したフードトラックビジネスだが、エマージェント・リサーチ の調べでは2017年までには、売上が27億ドルにまで成長することが予測されており、レストラン業界の総売り上げの3-4%にあたる規模となる。特にこの数年、フード・トラックは、益々グルメ化をしており、世界各地の目新しい軽食やデザートを手軽に楽しめることから一段と人気が高まっている。フードトラックがアメリカで本格的に台頭したのは2007年~2008年ごろ。レストランや店舗に比べて手頃な価格で買えるランチやスナックは、景気が低迷した当時のアメリカ人を大いに喜ばせた。最近は、地元で調達した食材やオルガニック農作物にこだわるフードトラックがあり、価格は上昇傾向にある。フードトラックはレストランなどでの莫大な開業資金を必要とせず、好奇心旺盛な食通達に自作のスナックやデザートを味わってもらえる貴重な実験場でもある。しかも、フェースブックやツイッターなどのSNSを使って、口コミで話題作りができるため、工夫さえすれば、マーケティングコストもかからない。ニューヨークにおけるフードトラックの歴史は古く、1690年代に始まる。現在、ニューヨーク市には、約500台のフードトラックがあるが、その内、400台はアイスクリームなどのデザートトラックで、残りの100台は、軽食を提供している。車内のキッチンは狭いため、人気のフードトラックは、ワッフル、マカロニ&チーズ、キムチタコスなど、話題性がある単品メニューに絞り込み、調理の質の高さを保っている。平均価格は、7~9ドルである。フードトラックでの成功を機に、事業拡大を図るトラックオーナーは多く、ロブスター専門で昨年、全米フードトラック・ナンバーワンに選ばれたレッド・フック・ロブスターは、マンハッタンにレストランをオープンした。また、シャーベット専門のケルビン・ナチュラル・スラッシュは、グルメ・スーパーに独自ブランドの商品として、供給している。最近のトレンドとしては、韓国、タイ、フィリピンなど、アジア料理の味をアメリカ人向けにアレンジしたものが注目されており、カツ丼など日本の料理も人気である。